編集記

12年勤めたNTTを退職して外資系企業に転職して1年経った結果【外資は地獄?!】

AnotherLifeのエンジニアをやっているジョーです。

普段は裏方として弊メディアの開発管理をしているのですが、最近(ちょっと旬すぎた感ありますが)はてなブログ等でNTT退職記事が流行っているのを見て、元NTT社員として僕も記事書いてみたいと思いこの度筆を取りました。

私は大学卒業後に新卒でNTT某社に入社したのですが、昨年、12年勤めたNTTを退職し外資コンサルにリファラル制度※で転職しました。記事執筆時点で転職から丁度1年が経過したところです。

この記事では、外の会社を経験した立場から改めて古巣NTTを振り返り、NTTとNTTではない会社の違いをつらつらと書いていこうと思います。

※リファラルとは転職先の会社に勤める人の紹介づてで転職する制度のこと。紹介者に数十万円の紹介料が入るので社員がお小遣い稼ぎでやってたりします。

スペック

G-MARCH卒。新卒でNTT某社に入社。NTTは主要5社とか主要8社という区分があるんですが、私はそのいずれかに入社。入社理由はNTTのホワイトさやまったりさに惹かれたため。

NTTの退職理由

やめた理由は他の方と似た感じ。NTTという会社に閉塞感を感じたからです。

世はGoogleだ!Amazonだ!Facebookだ!と米国発祥のテクノロジー会社を奉り崇め、それに感化されたエリートな人間たちが次々とTech系ベンチャー企業を興し、かつてないほどテクノロジーに注目が集まった時代となりました。

これらのテクノロジー会社では、社員の写真はみなアー写風であり、オフィスには必ずバランスボールMacが配備され、その会社を支えてるであろう多くのGeek・NERD社員には似つかわしくないDJセットが置かれたシャレオツBarがオフィスに併設されており、社員は夜な夜なそのBarでドライフルーツを噛りながら先端テクノロジーについて熱く語っている。

一方、NTTは、写真に写るときは相変わらずろくろを回し、未だにWindowsXPを操り、社員食堂でアジフライ定食をたしなみながら、50代で迎える定年退職後の再雇用先の会社について熱く論じるのである。

なんか両方を煽ったような書き方になっちゃいましたが、要は、世の中が目まぐるしく変わって、働き方とかお金の稼ぎ方がドラスティックに変わっていくのに、旧来のやりかたにしがみつきカルチャーをアップデートすることなく世間と周回遅れを続ける会社にいると、世間に取り残されていく気持ちになってきて、会社にいることが窮屈に感じはじめたってわけです。

NTTはインフラ事業という安定したお金の源があるため、チャレンジをしてリスクを犯す必要がありません。そのため安定や規律の精神がビジネス上最も重要視されます。また、ビジネスに直結するようなタスクはほとんどなく社内のルールやしきたりをこなしていく刺激のないタスクに1日の大半の時間が注がれていきます。Tech面でいえば、いまだにEclipseとSVNとMantisを使った開発を行い、IntelliJもGitもJIRAもしらない技術者で溢れかえっています。それでもグループ連結で年間10兆円以上を稼ぐわけなので、いかに既得権益の上に成り立っている会社であることがわかります。勝負にでなくてもご飯が食べていけるのは素晴らしいことですが、それだけでは刺激がなさすぎます。

人生一度きり。一度くらいハンモックとかビーズクッションが置いてある託児所みたいなオフィスで働いてみたい、一度くらいコンパで会社名を出すだけで女子たちがひれ伏してしまう会社で働きたい、そんなよこしまな想いも抱きながら転職サイトを調べ漁っていたのですが、そんな折に、外資に勤める知人がリファラルのオファーをバランスボールに乗ってやってきたわけです。オファー内容は破格の1本超え。

Techど真ん中の会社ではありませんでしたが、転職欲が絶頂のときに、タイミングよく託児所系オフィスのシンボル的な某外資会社からのファーだったので、躊躇することなく人生初の転職を決めました。

入社当時はまったりホワイトが第一優先の意識低い人間でしたが、社会に出て様々なバックグランドを持つ人たちと出会い、趣味への活動も一通りやり尽くしてしまうと、すっかり意識も変わるもんですね。

すごい前置きが長くなってしまいましたが、こうして私は外資の門をくぐったわけです。それは昨年12月のこと。はじめての転職、はじめての外資、はじめての経費、はじめての2徹(2晩連続して徹夜する意)。

この1年色々ありました。ぬるま湯の有り難みを今しみじみと思い返しながら私が経験した2社の比較をしていきます。

年収について(NTT VS 外資)

瞬発力は圧倒的に外資に軍配があがります。あっという間に大台(1000万円)に乗ります。早い人だと20代後半で到達します。私も転職を機に年収が1000万円を超えました。前払い制の退職金も支給され(キャッシュフローを重視している人にとっては退職金を60過ぎてもらうより嬉しい制度かも)、年収の他にボーナスも入り、毎月の手取りは70万円近くあります。

一方前職のNTTの年収はというと、12年目の役職(主査)ありで住宅手当を入れた年収が730〜830くらいです。これに退職金が別途支給されます。12年勤務した私の場合で700万でした。年間50万円くらいが積み立てられていた計算ですね。40年勤務で2,000万円くらいと思うとそんなもんかと思います。

他のエントリーであったようにNTTでは主査以下の階級であれば年収のアッパーは800前後になると想定されます。めっちゃ残業して、子沢山(扶養手当が貰えるから)であれば大台届くと思いますが、会社としては残業を減らす機運があるため主査以下で大台到達はほぼ不可能です。管理職(課長以上)にならなければ大台に到達することはできません。課長になれる最速は36歳頃で、同期100人いたら10人くらいの割合ではないかと思います。

こうみると外資のほうが年収はいいなと思うかもしれませんが、そんな簡単なものではありません。なぜなら外資はサービス残業あたりまえで、時給加算にすると実はNTTと変わらなかったりします。

NTTにはサービス残業はありません。土日に家で仕事をすることはできないし、定時になると労働組合の巡回が始まりノー残業デーでは強制的に帰宅させられます。

一方外資は表面的な残業規制がありますがほぼ機能していません。なので朝6時まで働こうが、ノートPCを持ち帰って土日に仕事をしようがお構いなしです。なのでほっておくと労働時間は間延びする傾向にあります。私の場合、平均して月70時間くらいは残業していると思います。

ほぼ定時で700〜800万と、月70時間残業して1000万。こう考えるとどちらがいいかは明確に言えなくなると思います。

また外資にはUP or OUTという考え方があります。3年とか4年とか一定期間 昇進できなかった場合は会社を辞めなさいという暗黙のルールもしくは明確な制度が存在します。目先の年収に惑わされて入社しても、サバイブする力が弱く競争に負けてしまったら、40歳過ぎて会社をOUTとなることすらあります。

外資に来て気づいたのですが、NTTの頃は周りに溢れかえるほどいた50過ぎのおっさん平社員がまったくいません。なぜなら彼らは淘汰されるかディレクター等(部長やさらにその上の階級)会社の要職についているからです。昇進なく会社に残ることが許されない弱肉強食のドライな社会なのです。

まとめると、腐るほど働いても平気なやつ、外資でサバイブできる能力の高いやつにとっては外資は天国といえると思いますがそうでない人にとっては地獄のようなところということです。

社員の優秀さ(NTT VS 外資)

次に社員の優秀さの比較ですが、

私はNTT時代はブイブイ言わせていた社員でしたので、外資でも問題なく通用する優秀な人間であると自信を持っていました。

しかし、それは幻想だったことに気付かされます。転職してすぐにポンコツさが露呈します。作った資料はロジックの穴だらけで上級社員に激詰めされ、転職早々に20人くらいのチームリーダを任せられましたがうまく周囲を巻き込みや場の仕切りができずに上司に激詰めされたり、技術的な話も知ってそうで実はよく分かっていなくて激詰めされたり、NTT時代にはなかった激詰め攻撃をくらいます。

そもそもNTTの頃にブイブイ言わせられたのは私自身に能力があったわけではなく丸投げしていた協力会社さんのお陰であり、組織の力があってのことだったということに気づきます。個人でやっていたことなんてたかがしれており、それをあたかも自分の能力と思い込んでいたに過ぎず、会社が変わり後ろ盾がなくなってみると、個人としてのスキルがないことに気づかされることになります。ああ、俺は人に問題を解かせて回答をしゃべるだけの伝書鳩だったんだなと・・・。

また、周囲にダメ人間が多かったことが相対的に能力があると勘違いさせた原因でもあります。なんせ会議中に寝るやつ、単にレールに乗っただけで出世した無能管理職、世間へのアンテナが異常に低いやつが周囲にごまんといて、普通にしているだけで俺すげえとなる会社だったので、単に周囲の人間のレベルが低かったことによる俺出来る幻想だったわけです。

一方、外資は前述した通り、ダメ社員は淘汰されるため、優秀な社員しか残りません。話の飲み込みが早く、アウトプットがキレイ且つ早い、そして場のしきりがうまく、仕事に対するアティチュードが情熱的で前のめりの猛者ばかりなんです。そんで東大卒とか京大卒とかばかり。やたらと高度な資格(公認会計士など)を持ってたり、やたらと帰国子女が多かったりと優秀さを語ると枚挙に暇がありません。

社員の優秀さにおいては圧倒的に外資のほうが上です。

しかしこれも良し悪しの判断は賛否がわかれるところです。

優秀な人間に囲まれて仕事ができて最高!と思えればラッキーですが、UP or OUTの世界はそんな可愛いものではなく、仕事ができるやつらは、えてしてサイコパス系モラルハザードな人種が多く、彼らは人を詰めることに長けた人間であり、転職間もないウブな人間はまずます標的にされます。自分の鍛錬にはなりますが、四六時中有能エリートにロジカルな詰めをされ続けられるとメンタルは徐々にすり減っていきます。

最近、鶏口牛後という四字熟語を噛みしめるようになりました。

個人のスキルが高くてサバイブする精神力を持っている人は外資向きですが、根がサボリーマンでメンタル弱いやつは外資には向きません。鶏口を目指すほうが吉です。

その他

すみません、書き出すと長くなるので、それぞれの会社のいいとこ悪いとこを適当に箇条書き程度に書き下します。時間できたときに詳細に書き直します。(需要あれば。)

外資のPros and Cons

Pros1:勤務体系が超自由。在宅OK、ほぼフルフレックスなので自分の生活リズムに併せて仕事ができます。遅刻とかって概念なくなります。

Pros2:経費を使えるようになります。年間数十万円の経費があり、会社の飲み会はほとんど経費で支払われます。

Pros3:移動がほぼタクシー。

Pros4:仕事のフィードバックを常日頃受けることができる。しかもストレートに。(どっちかというと悪いことをストレートに言われる。)

Pros5:セキュリティへの意識が希薄。大丈夫?と心配にすらなりますが管理されない煩わしさから解放されますし、便利なもの(野良ソフトウェアとかでも)はなんでもすぐに取り込める良さがあります。

Pros6:モテる

Cons1:くそ激務。ベンダはおらずほぼ自前でやるので仕事がおおい。

Cons2:年下上司はあたりまえ。

NTTのPros and Cons

Pros1:前述の通り、サボリーマンでも、スキルなくても、うつ病でずっと病休してても、産休と育休を絶え間なく取り続けほとんど会社に顔をださなくても首になりません。無能な人にとっては天国な職場です。安定して働けるというのは何者にも代えがたいものだと思います。

Pros2:ベンダ丸投げ可能。仕事が楽。

Cons1:セキュリティがっちがちすぎて何もできない。便利なものでもセキュリティリスクがあれば社内で使うことはほぼ不可能。セキュリティはすべてのことの最優先事項になっているため、社員証なんかを落とそうものなら血祭りにあげられる。

まとめ:外資への転職が地獄になるか天国になるかは貴方次第

あまり網羅的に纏められませんでしたが、(外資的にいうならMECEぽくないですが)、12年のNTTと1年の外資コンサルを経験したうえで感じたことをつらつらと書きました。

NTTで感じた閉塞感を今の会社で感じることはありません。しかし本当に厳しい労働環境で激しい競争もあり1年で結構メンタルはズタボロになりました。かつてクソだと思っていたNTTののんびり感は実は恵まれたことだったのかなと思ったりもします。

自身の能力を客観的に判断してどちらが身の丈にあった環境かを分析することも大事なことだなと思います。外資への転職が天国の選択になるか、地獄の選択になるかは貴方次第です。

ちなみに今のオフィスにはハンモックもバランスボールもありますが使ったことはありません。

おまけ

そんなこんなでこれを読んで転職したくなったという人はひとまず転職サイトに登録することをおすすめします。

私が主に情報収集で使ったのは以下3サイト。

最終的に転職しないとしても自分の市場価値が分かったり、これまでのキャリアの棚卸しができたりいいことづくめです。

自分にはスキルがないから転職なんて無理・・・と思ってるあなた、みんな裏で資格取得や自学自習でスキルを磨いてるんですよ。スキルは勝手につくものではなく自ら身につけるものです。自分を甘やかさずにスキルを磨いていきましょう。スキルを磨くには絶好の人生を変える1ヶ月【TECH::CAMP(エンジニアスクール)】 がおすすめです。プログラミングを学んで憧れのGAFAに転職しましょう。

いいね!を押して最新情報をGETしよう